日本の未来を予言と話題騒然の衝撃作! 消滅世界/村田沙耶香

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今回は、村田沙耶香さんの消滅世界を紹介します。

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著者紹介

1979年生まれ。2003年「授乳」で群像新人文学賞優秀作を受賞。09年「ギンイロノウタ」で野間文芸新人賞、13年「しろいろの街の、その骨の体温の」で三島賞、16年「コンビニ人間」で芥川賞を受賞。

 

消滅世界のあらすじ

本書「消滅世界」は、人工授精が主流になり夫婦間の性行為は行われなくなった世界が舞台となっています。

人工受精が主流となり、夫婦での性行為が行われなくなった世界では、男女ともに避妊の処置がされ、人工授精が主流となる。夫婦間の性行為はタブーであるため、外で恋人をつくるようになった。

千葉は実験都市になり、そこはまさにパラレルワールド。同じ日本なのに、全く違う世界のような異様な光景がそこにはあった。

そこでは家族という概念も、セックスも存在しない。生まれてきた子どもは社会の共有財産としての「子どもちゃん」であり、大人は男性・女性に関わらず「おかあさん」と呼ばれ、「子どもちゃん」に愛情を注ぐことが義務付けられている。

家族(ファミリー)システム➡️楽園(エデン)システムへ。

楽園(エデン)システムは、人類にとって「善」なのか?それとも「悪」なのか?

時代が変われば、常識は変わる。昔は「常識」だったものも、時代の変化によって「当たり前なもの」ではなく『異常』なものへと変わっていく。

「お父さんとお母さんはね、とっても好き合ってたの。恋に落ちて結婚して、愛し合ったから雨音が生まれたのよ」

「雨音ちゃんも、いつか好きな人と愛し合って、結婚して、子供を産むのよ。お父さんとお母さんみたいに。そして愛する二人で、大切に子供を育てるのよ。

好きな人同士が愛し合って子どもが生まれる。何の違和感もない言葉ですが、人工授精が主流の世界ではゾッとする怖さがあります。

世間の常識も、時代の変化によって変わっていく。

雨音と母親のこの対話は、この物語の世界を表す象徴的なものだと感じます。

異性愛主義:ヘテロセクシズム

本作は、異性愛主義へ一石を投じる作品となっています。

「消滅世界」で描かれる世界では、すべてが女であり、すべてが母なのです。「女性しか存在しない」世界は一種のジェンダーレス社会と言えるでしょう。

男性は女性を、女性は男性を愛さなければいけない=異性愛主義。

最近、テレビで自分は無性(Asexual)だという女性を見ました。

身体的性別は「女性」だが、心の性別はどちらでもないそうで。

その女性が、男性・女性に関わらず「人間」が好きなんです。と言っていたのがとても印象的でした。

男性、女性で分けること事態ナンセンスなのかもしれません。

男性だろうと、女性だろうと、ひとりの人間に変わりはありませんし。

村田さんは、作家仲間から「クレイジー沙耶香」と呼ばれているそうで、その理由が本書を読むと分かる気がします。

未来の日本をイメージさせる人工授精・人工子宮などはリアリティのあるものでした。

個人的には、モヤモヤしたものが心に残る読後感でしたが、村田さんの描く世界観に魅了され、他の作品も読みたくなりました。

日本社会の未来を予言する一冊。

家族とは何なのか?