【読書感想】 世界から猫が消えたなら/川村元気 小説というよりこれは哲学書だ!

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ねぇ、あなたのかけがえのないものって何?」

こう訊ねられたとき、あなたは何と答えますか?

世界から、もし猫が突然消えたとしたら。この世界はどう変化し、僕の人生はどう変わるのだろうか。

世界から、もし僕が突然消えたとしたら。この世界は何も変わらずに、いつもと同じような明日を迎えるのだろうか。

これは1匹の猫と共に暮らす男性郵便配達員が主人公の物語です。

基本的にファンタジー要素が多いですが、家族のかたちを描いたドキュメンタリーの要素もあります。

人は失ったときに、その大切さに気づきます。

失って後悔する前に、自分にとって『かけがえのないもの』はなにか。それを考えるきっかけとなった本でした。

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世界から猫が消えたならのあらすじ

これは、僕に起きた不思議な7日間の出来事。

郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタクで、猫と二人暮らし。

ずいぶん長いこと風邪をこじらせたまま、毎日郵便配達の仕事をしていた。

頭の右はじがジリジリと痛い。

病院に行くと、脳腫瘍で余命はわずかであることを宣告される。

放射線治療、抗がん剤治療、終末期治療など、さまざまな選択肢を医師が提示するが、

まったく耳にはいってこない。

絶望的な気分で家に帰ってくると、僕とまったく同じ姿をした他人がそこにいた。

その男は『悪魔』だった。

世界からひとつ何かを消す。その代わりに一日の命を得ることができる。

これが悪魔が僕に持ちかけた取引だった。

僕がその取引に応じると、まずは電話が、電話の次は映画、その次は時計…と世界からものが消えていきます。今まで当たり前にあったものが世界から消えていくなかで、改めて自分の人生を思い起こし、本当に大切なものに気づいていくーー。

これは、僕に起きた不思議な7日間の物語。

世界はモノであふれすぎている

「ほとんどの大切なことは、失われた後に気付くものよ」

この世界はたくさんのもので溢れています。しかし、そのほとんどがあってもなくてもいいものばかりです。

そんな世界だからこそ、「これじゃなきゃだめ」「これだけは譲れない」という自分の中でのしっかりとした軸を持っておくことが必要なのです。

でも何だろう。この個人レベルでの影響のなさは。どうやら、ひとり(+猫)で生きていくぶんには、時計も、それに付随する時間も、僕の人生にはまったく関係ないと思えてくる。

時計がこの世界からなくなった時、人はどう変化し、どう変わるのだろうか。

そもそも、なぜ時計や時間という概念が存在するのか。すごく考えさせられる場面でした。

時間という概念は人間以外の他の生物にはないものです。

人間だけが時間に縛れて生活をしています。時計がこの世界から無くなったら、人はどんな生き方をするんでしょうね。

何かを得るためには何かを失わなくてはならない

「何かを得るためには、何かを失わなくてはね」

これは、本作で何度も何度も出てくることばです。これは、母の口癖でした。

僕は、一日の命を得る代わりに色んなものを失ってきたわけです。

何かを得るためには何かを失わなければならない。まさに、この作品を象徴する重要なことばとであり、ぼくたちが生きているこの世界における普遍的な法則でもあります。

登場人物の名前

本作は、著者である川村元気さんが、幼い頃に飼っていた猫が突然姿を消した体験と

大人になってから携帯電話をなくした体験、それぞれの時に感じたことから着想を得て執筆されたそうです。

この作品には登場人物の名前が出てきません。

読者の誰もが自分に置き換えて入りこめるようにとあえて登場人物は“僕”や“彼女”にして個人名を付けなかったそうです。

まとめ

大切なことは失われた後に気づく、何かを得るためには何かを失わなければならないなど哲学的なことばが多く登場するので、

小説というよりも、哲学書的な立ち位置にあるものだと感じました。

誰のなかにも必ずある『大切なもの』や『かけがえのないもの』。自分の人生を振り返るきっかけ、そしてこれからの人生について深く考えさせられました。

あって当たり前のもの。本当は大切だとわかっているけど、後回しにしてしまうようなこと。

そんなものを見つめ直すきっかけを与えてくれる良書でした。 

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